アンケートで「仕事と妊活をうまく両立できている」と答えてくれた人に、どうやって両立しているのかお聞きしました。もちろん職種や立場、雇用形態などが違えばやり方も違ってきますが、ヒントになることはきっとあるはず!
職場の仲間全員に伝え、休みを優先してもらった
(A・Nさん40歳/看護師 正社員)
2018年からタイミング法、人工授精での治療をしていましたが、その時点では周囲に伝えず、休みは自分で調整していました。21年6月、体外受精にステップアップする時に治療のことを職場の上司と同僚に伝えました。体外受精になると受診回数が増え、急に休んだり、遅刻・早退が多くなり、周りに迷惑をかけることになると思ったからです。
上司には「生理開始3日目までに受診になるので、その際は急な連絡になります」と伝えておき、その時の状況に応じて半休、もしくはその週の休みの日と受診日を変えさせてもらったりしました。受診日が前もってわかっている時は、他の人に交代をお願いしたりしました。採卵日や移植日だけは丸1日お休みをいただきました。
上司に伝えておいたお陰で、急な休みの申請も優先してもらえましたし、同僚も私の体調を気遣ってくれ、勤務交代にも快く応じてくれたので、精神的にはとてもラクでした。全員に伝えたのがよかったです。後で誰かから「なぜあの人だけあんなに休むの?」などと文句を言われることもなかったからです。
男性の同僚には言いづらいと思うかもしれませんが、むしろ男性に不妊治療を理解してもらうことにもつながったと思います。職場に前例がなくても「だったら自分が作ってやる」ぐらいの気持ちで職場の人たちに伝えてください。治療は決して恥ずかしいことではないのですから。
通院が重なる週は動かせない予定を入れない
(S・Nさん31歳/マスコミ・宣伝企画 正社員)
ちょっと休んでいた時期もありますが、不妊治療を始めて4年になります。変に噂話の対象になったり、心ない人から「だから子どもができないんだ」と揶揄されるのが嫌なので、職場の人に治療のことは話していません。
2、3カ月先の生理の予想を立て、採卵や移植時期で通院が頻回になりそうな週は、ミーティングなど動かしづらい予定は入れないようにしています。治療内容によって受診が午前か午後かが事前にわかっている場合は、それ以外の時間帯に、動かせない仕事の予定を詰めるようにしています。
仕事がどうしてもずらせず困った時は、病院側に遠慮せず「仕事の都合で」と伝えて受診日を変更してもらいます。案外「それなら前日でもいいですよ」と言われたりします。この日でないとダメというのはこちらの思い込みの場合もあります。
通院が多いことを職場の人たちに見抜かれないため、テレワークの日に申告しないで病院へ行くこともあります。でも、その分、時間外や土日に仕事し、遅れを取らないようにしています。どうしても大事な仕事が入っている日に、採卵などで休まなければならない場合は、急な体調不良で休むつもりでいます。
治療と仕事、どちらかを手放せば、片方のつらさから解放されると考えがちですが、それぞれに希望が見える瞬間はあるし、2つあったほうが結果的にメンタルがより良く維持できると思うので、これからもこのスタイルで両立を続けていくつもりです。
職場との信頼関係を作り仕事と治療を両立
(Y・Kさん 39歳/医療機器メーカー・一般事務 正社員)
仕事と不妊治療の両立には職場の理解が必要です。隠さずに伝えることで信頼関係にもつながるし、後々妊娠した時まで想定して業務内容を見直してくれる上司もいます。私は昨年10月、2人目の不妊治療を開始すると同時に上司に伝えました。1人目も治療で授かっていたことを知っていたので、2人目もきっと~と予想され、覚悟はできていたという印象。周りにも40 代で出産される方が多かったようで「頑張って」と言ってくれました。同僚へは全員ではなく、急な通院で業務に支障をきたす可能性がある時、私の業務を代行してもらえる人にとどめて伝えました。
治療開始から数カ月後、上司から治療の進捗を聞かれました。今後の人員配置の計画に関係するのかと思い、曖昧にせずその時点での予定や自分の気持ちを正直に伝えました。治療が予定通りにいかないことや、自分の気持ちが途中で変わることもあります。場合によっては上手くいかず途中で治療を断念せざるを得ないこともあると思いますが、誠実に伝えるほうが信頼関係を保てると思ったからです。
今はワークライフバランス、SDGsなど社会全体の風潮が追い風になり、不妊治療も以前より理解を得られやすくなっています。また、リモートワークもしやすくなっているので、こうした世の中の流れをうまく利用するのもストレス軽減、治療継続のコツです。ストレスが少なかったお陰で顕微授精で妊娠できました。現在5カ月です。