今の時代、不妊治療をする多くの女性が仕事をしています。
通院と仕事のスケジュールが合わなかったり、治療のために急に仕事を休まないといけないことがあったりと、働きながら不妊治療をすることは身体的にも精神的にもきついと感じる人が多いと思います。
今回、ジネコでは「仕事と不妊治療の両立」についてアンケートを実施。
そのなかから両立のヒントを探っていきます。
どんなに忙しくても心と体を最優先に
創業115 年の老舗食品メーカーを継承し、社長として働きながら妊活してきた筏由加子さん。何事にも全力で向き合い、「完璧を求めすぎた」自身の経験をもとに、働きながら妊活する人へのアドバイスをいただきました。
*筏さんの詳しい妊活ストーリーは冬号の「Her Story ~あなたに伝えたいメッセージ」に掲載予定です。お楽しみに!
自分にやさしく、頑張りすぎない毎日を
1人目の時は、結婚したらすぐ子どもができるだろうと思っていたけれど半年経っても気配がなく、不妊クリニックを受診。タイミング法と並行して人工授精も試していたら、結婚1年後に長女が誕生しました。産前から産後に精神的に不安定になったり、出産8日目に職場復帰して翌年には社長就任したりと、本当にてんやわんや! 長女が2歳になった頃、ようやく2人目の治療を開始しました。
通院時の待ち時間などのストレスはなかったけれど、立場的に会食や出張が多く、スケジュール調整には大苦戦。特に2人目で体外受精にステップアップしてからは、月1回のチャンスを無駄にしていいのかと悩んだり、先生が提示する日に「行けない」と言うと「どっちが大事なんだ」と目で語られているような気がして、それでも仕事を優先したり…。何でも完璧を目指したいけどうまくできないのが現実で、誰にも打ち明けずに落ち込み、イライラし、いつの間にか限界を超えていたように思います。
そんな時、私の心を軽くしてくれたのは、周囲の人々がかけてくれた「みんな同じように悩んでいるから、大丈夫だよ。一人じゃないよ」という言葉でした。仕事と上手に両立するうえで大切なのは、スケジュール調整が難しい時は無理をせず、気持ちのコントロールができない時はできるまで待って、苦しい時は誰かに頼ること。今春、私は最後の凍結胚盤胞移植を終えて妊活を卒業しましたが、自分自身を大切にする方法に気づくことができたのは、治療の日々があったからこそだと強く感じています。
不妊治療は年齢やさまざまな要因で焦りがちになってしまうけど、「心と体のバランスがくずれそうになったら、休憩しても大丈夫!」。働きながら妊活しているすべての女性に今こそ伝えたい、私からのメッセージです。
ジネコは仕事と不妊治療が両立しやすい環境を作るため、社会に皆さんの声を届けたいと思っています。一人ひとりの声やご意見を引き続き募集します。